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女風セラピスト歴7年。女性と向き合う中で、観えてきた男女の性の現状Vol.1

『選ばれしセラピストの女風コラム』第一弾!!セラピスト歴7年目、女性向け風俗店を運営する40代の現役セラピストである「柾木 寛(まさき・ひろし)」さんによるコラム

柾木さんは、昨年の2021年5月に『「女性向け風俗」の現場 彼女たちは何を求めているのか?』(光文社新書)という書籍を通して、女性の性と向き合う中で彼が観てきた男女の性の現状や女性の性に対する考え方を綴っている。本コラムから見える女性向け風俗への想いは、女性だけでなく現役セラピストにも読んでほしい記事となっている。

目次

男女の性のズレ

同じ風俗といえど、男性が風俗を利用する訳と女性が風俗を利用する訳は少し異なります。私の元に、『私の身体、おかしいんです』との悩みを抱えて来られる女性は少なくありません。

実際にその女性に触れてみると全く問題ない方がほとんどです。その要因は、単純に男性側の性知識不足・配慮不足なことが多いのです。 日本の男女の性は昭和の純潔教育の影響を今なお引きずり、おかしなことになっています。この問題は社会として関わらないといけないレベルの話だと感じています。 その問題のしわ寄せは女性一個人に降りかかってくるのですから。 
 
また、男女の身体の構造的違いによる問題もあります。女性の性欲のピークは閉経前40代から50代前半にやってくるのに対して、男性の性欲のピークは20代前半。この性欲のピークのズレは男女の性にとって大事な問題になります。30代後半以上の男性の性欲は、性欲が衰えない人・関心が薄れてしまう人と二極化していますが、多くの男性は性欲減退をしていきます。男性は自分に性欲がないからパートナーの女性もないと思っている人は少なくありません。突然性欲が出てきてしまった女性が寂しそうにこのように語っていました。『夫と10年以上セックスレスなのに、今更セックスして欲しいなんて言えません』と。男女の性のズレは、男性の気が付かないところで起きていると実感します。

男女で異なる風俗利用の理由

男性が風俗を利用する時は衝動的に利用する人が多いのですが。一方、女性が風俗を利用する背景には様々な要因が存在しており、何年何十年と蓄積されてきた満たされない気持ちが裏にある方も少なくありません。女性向け風俗を利用される年齢層で一番多い年代は40代というのが、私の経験上あります。
それは、子育ての一段落や閉経など女性として変化の多い時期というのが関係していると感じます。母親として子育てを頑張ってきた女性が、子供の手が離れ寂しさを感じるものの、旦那は私をお母さんとしか見てくれないことへの不満を感じている女性も少なくありません。40代の女性は、生理不順が頻発すると閉経を意識するようになり、女としての喪失感を感じる方や、体型の変化から女としての自信を失っている女性は少なくありません。私は沢山のお客さんから、『私を女に戻してくれてありがとう』『私、まだ女でした』という言葉を頂きました。中でも『私の性別はお母さんなんです』との一言は今でも私の心に残る言葉です。

セックスレスだった女性が、男性に身体を見られることにより美意識が上がり女としての自分を取り戻される方もおられます。女性が、女性向け風俗を利用したことによる効果は、想像以上にあるのを感じます。私が女風(女性向け風俗の略)を始めた2015年ころは、女風の存在は世間に知られておらず、女性がひっそりと利用していた時代です。今は女性誌などでも特集が組まれるくらいに認知度が上がってきており、利用のハードルも利用年齢も下がりカジュアルな存在になりつつあります。 

女性向け風俗の現場を発刊してみて

 先に述べたような背景の後押しもあり、私の書いた新書『女性向け風俗』の現場はAmazonベストセラー1位となり、重版にもなりました。 発刊からもうすぐ一年が経とうとしていますが、いまだにAmazonレビューは増えており、現在82のレビューを頂いております。 当初、『男性が女性の性について書くと荒れますよ!心しておいて下さい!』とのお言葉を作家の先生から頂いていました。 
 
それでも私の観てきた世界を、世の中に・社会に伝えなければいけないとの決意で、炎上覚悟で発刊しました。 いざ、発刊してみての世間の反応は予想に反するものでした。センシティブな内容のため、辛いお言葉もありましたが、好反応の感想が多かったです。『この本は、女性に読んでもらいたい一冊』との女性からの感想も頂きました。 『私と同じ悩みを持つ女性が沢山いることを知りこの本に救われました』と、直接ご連絡を頂くこともありました。 

 


今回、私が発刊して感じたのは、女性の性は男性のオモチャにされてきたという認識を持つ女性が多いということです。女性の性を面白おかしく書かれてしまうのではないかとの危惧が女性には存在していることを知りました。 女性の性が男性の性欲処理の道具と化し、その陰に隠されてきたのが女性の性ではないでしょうか? 女性向け風俗の存在自体が、未来の女性の性の世界を大きく変えていくと強く感じます。

本を発刊しての反響で私が一番驚いたことがあります。それは、読売新聞にこの書籍『女性向け風俗』の現場が紹介されたことです。 私が女風を始めたころには想像もしないような事です。まさに、時代が変化してきているのを実感しました。 
 
更にもう一つ驚いたことがあります。それはプレジデントから対談のお話を頂きプレジデントオンラインに取り上げられた事です。 一番読んで頂きたかった30代以上の男性読者層へ届けられたことは大きいです。 この本は男性側へ、アダルトビデオを教科書にした間違った性知識を変えていく時が来てます、との警鐘の意味も込めて書いています。男女の性は、主導権を握っている男性が変わらないとうまくいきません。 
(本の中でも触れましたが、この性の主導権が将来は女性へ移っていくのでは?と思っております。)

本を書こうと思ったわけ

柾木さんは何故、この本を書こうと思ったのですか?とのご質問をよく受けます。 私が、本を書こうと思ったのは、女性向け風俗の仕事を始めて3ヶ月が経った頃だったと思います。 その時は、毎月15人くらいのお客さんとお会いしていました。 風俗セラピストとお客さんとの接点は性のみ、そのためお客さんは性の本音を私に語ってくれました。 そしてある時、皆さん同じことを悩み苦しんでいると気がつきました。男性の触り方がキツくて辛い•アダルトビデオの様なガチャガチャとした触り方が苦手、等々。 彼に『気持ちいい?』と聞かれたら、一生懸命してくれているのに『気持ちよくない』なんて言えません、と多くの女性が困惑して言われていました。
 
女性側は気持ちいいと言ってしまった手前、感じてないと変に思われると考え演技をしていきます。 そして、一度演技をしてしまうと演技をし続けないといけなくなり、今更気持ちよくないとは言えなくなっていきます。 その結果、常に理性が常駐してしまい、感じるどころではなくなってしまう女性も少なくありません。 そのほかにも、この様なお言葉を何人もの女性から頂きました。

  • 一度でいいから演技をしないで感じてみたい
  • 生理のあるうちにちゃんと感じてみたいんです
  • 彼、前戯がほとんど無いんです
  • 濡れたら挿れていいと男性はみんな思ってます・・身体は濡れても気持ちはまだ準備中なのに
  • セックス終わった頃にスイッチ入ってしまって、結局あとで自分で処理することになるんです。 等々

女性の言われている、この様な不満を辿っていくと日本の性教育の問題にたどりつきます。 日本の性教育の歴史を見ると戦前は、各部落での年長者によるしっかりとした性教育の場が存在しておりました。その後、性教育に純潔教育の思想が入ってきます。とりわけ40代以上の男性が受けた性教育は、男女別々で行われる『おしべとめしべ』の性教育です。

女子生徒は体育館に集められ、出産や生理のビデオを見て女性としての身体の授業を受けます。その間、男子生徒はサッカーをやっているという教育現場でした。何も性知識の教育を受けなかった男性が、どこでセックスの知識を得るかというと、アダルトビデオになります。 
 
AVは唯一、男性が他人のセックスを見ることが出来る場です。 沢山のAVを見ながら、女性の触り方は激しくするといいんだと、脳に刷り込まれていきます。 因みに、私が手技を習ったカリスマAV男優の加藤鷹さんはこのように語っています。 「AVは男性が喜ぶように作られた、ファンタジーの世界だから真似をしないように。」と。
 

かと言って私も、この仕事をする前はアダルトビデオの真似が女性が喜ぶ触り方だと思っていた一人です。男性はセックスしている相手の女性が、気持ちいいのか?気持ちよくないのか?よくわかりません。そのため『気持ちいい?』と聞きます。 その質問の裏には、相手の女性に気持ちよくなってもらいたいとの思いがあると思います。女性に気持ちいいと思ってもらいたい男性と、男性を気遣い演技をしてしまう女性お互い、相手を気遣ってのことなのにズレてしまっていることを、女性向け風俗セラピストを行って痛感しました。 
 
ある風俗嬢にこの話をしたところ、『間違った男性の性知識は、風俗嬢にも原因があります』との返事が返ってきました。 話を詳しく聞いてみると、『痛い触り方でもお客さんの気分を害しないように、気持ちいいふりの演技をしています』と話してくれました。『AVで学んだ間違ったセックステクニックを風俗嬢で試して、リアル女性に気持ちいいと言われたら誰でもこれがいいと思ってしまいますよね』と。

そして、自分の歴代の彼女達からも気遣って気持ちいいと言われたら、男性は勘違いしてしまいます。その結果『どう!?気持ちいいだろ!?』と間違った自信を持つ男性が増えていきます。男性の間違った性知識と女性の優しさからの演技が、男女の性を『負のスパイラル』に落としていることを、女性向け風俗セラピストとして痛感します。
 
男性は女性の性についての本音を聞く機会はあまりないと思います。 私はこのことを男性側に伝えなければとの思いに駆り立てられ本を書く事に至りました。また、冒頭でお伝えした様に、女性は自分の身体がおかしいと悩まれている方も少なくありません。 女性は閉経をすると、濡れにくかったり、乾きやすくなります。 男性がその事を理解して、セックスにローションを使用することで解決できる問題は多いです。
 
 
セックスの最中に俯瞰で見ている自分がいて、感じないんです。旦那とセックスしても全然気持ちよくないんです。との相談をよく受けます。 その原因の多くは、男性の短い前戯によるものです。 女性の感じるスイッチが入ってない状態でのセックスを例えるならば、電源が入っていないテレビを見ている状態。その結果、女性が演技をして男性に見せている状態なのではないでしょうか? その様なご相談で、私がすることは女性の感度を上げて男性の短い前戯でもスイッチが入りやすい身体にすることです。男性が前戯をしっかりしてくれたら済む話なのですが、その男性のセックスに女性の身体を合わせることを施術でしています。
 
 
『女性の性を取り巻く環境の変化』
 
女性向け風俗は昭和の時代から存在していました。 しかし、時代が早かったようで、どのお店も短命で終わっています。 今は、先にもお話しした読売新聞にも取り上げられるような時代になりました。また、昭和の時代は一人のパートナーに子育てから趣味やセックスまで全てを満たしてもらう時代でした。 今はインターネットの普及で色々な人と出会うことができるようになり、 色々なパートナーが簡単に作れる時代に変わりました。 お客さんから、性を外注します。との言葉をしばしば聞きます。 2014年にテレビドラマの昼顔が放映されて以降、不倫をする女性が増えたと言われています。 
女風にこられるお客さんからしばしば聞くのは、家庭を壊したくないので不倫は出来ないけれど風俗だったら、いいかな。と思って利用しました。と 女性の性の解放とスマートフォンの普及は密接にリンクしています。家族と共有のパソコンでは『風俗』というキーワードは絶対に入力していませんでした。と多くの女性がおっしゃられます。

 

女性を扱うプロ

女性からお金を頂き身体を触るお仕事は、一般男性が想像する以上に気を遣います。また、向き不向きがはっきりと出る職種になります。女風セラピストは3年以上続く人は少ないと言われている世界。安易に男性が自分の性欲を満たしたくてしているセラピストは早々に淘汰されていきます。女性向け風俗のセラピストを見てみると、長く続いている人ほど女性の性のことを深く考えておられる方が多いです。そして女性側も自分の性に、真剣に向き合ってくれる男性を欲していると感じます。私のお客さんの最高齢は74歳、女性向け風俗利用に年齢なんて関係ありません(未成年を除く)もし一人悩んでいることがあるのでしたら、是非女性の性のプロである女風セラピストに打ち明けてみてください。きっと今より軽くなれると思いますよ。

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